蛍火のような恋だった



蛍の通夜から、1ヶ月が過ぎた。

俺は生きる目的を失ったように、ただ毎日をなんとなく過ごすようになっていた。

放課後には、毎日のように屋上に向かう。

『凪くん』

そこに、蛍がいるような気がして。

眩しいくらいの笑顔で、絵を描く蛍に会えるのではないかと思ってしまう。

屋上に寝そべって、ただぼんやりと秋空を見つめた。


『ね、今度中島くんのリフティング、見せてくれる?』

『写真なら一瞬で残せるけど。絵は、時間をかけて、自分の手で描いていくでしょ?そうすれば、自分がたしかにここにいたって、思える気がするの』

『次は、凪くんを描こうかな』

『私も、凪くんが好き…』


『凪くんを、愛してる』


目を閉じると聞こえてくる、蛍の声。

蛍、やっぱりダメみたいだ。

君のいない世界に、意味を見出すなんて。

「蛍…、蛍っ」

腕で覆った目元から、涙がこぼれ落ちる。