蛍火のような恋だった



病室の前に着くと、蛍の両親、山田、裕太が、心配そうに彼女のそばを囲んでいた。

周りには医者や看護師たちも集まっている。

「凪くん!良かった、間に合って」

蛍のお母さんの手が、俺をそっと導く。

心電図のモニターが規則正しくない波形を刻み、ビープ音が耳を打つ。

蛍の命が、もう少しで尽きてしまう。

その光景に、息が詰まりそうになった。

「この病棟では…心臓が止まっても、もう心臓マッサージも延命処置もしないの…」

小さな声で、母が告げる。

その言葉に、俺の胸の奥がぎゅっと締め付けられた。

「最期まで、耳は聞こえてるって先生が言ってたの。だから、最期のお別れ、してくれる?…蛍、凪くんが来てくれたわよ」

別れが、こんなに突然くるなんて思ってもいなかった。

俺は力無く、蛍に近づく。