「蛍。将来、中島と結婚式するなら私たちのこと、ちゃんと呼んでね?中島が蛍を泣かせたときは、あたしがぶっ飛ばしてあげる」
「ほんと。凪みたいに冷てえ男の彼女が、こんなに可愛い蛍ちゃんなんてさ。凪のこと、ぶっ飛ばしてえよな。指輪渡すとか、キザなことしやがってさ」
ふたりの言葉に、俺は「お前らな…」と声を漏らす。
と、握っていた蛍の手が、少しだけ動いた。
「ちゃんと、届いてるよ。蛍に」
「…ん、私ちょっと外の空気吸ってくる」
山田はそう言って、病室の外へと出ていく。
「俺、彩綾ちゃんのとこ行ってくるわ」
「ああ」
裕也も山田を追って、病室を後にする。
俺は冷えた指先を温めるように、蛍の手をさすり続けた。

