蛍火のような恋だった



「蛍、愛してる…愛してるから、生きて欲しいんだ」

そう懇願すると、今度は蛍からそっと口を寄せてきた。

「それは私も同じ。凪くんを、愛してる。愛してるから、凪くんには幸せになって欲しいの。凪くんには、長生きして欲しいの」

私の分まで…そう、蛍が呟いたのが、耳元で聞こえた。

「…蛍?」

一瞬、ドキリとしたけど、小さな寝息が聞こえてきて俺は小さく息をついた。

薬の影響なのか、眠ってしまったようだ。

俺は蛍の寝顔を見ながら、ずっと手を握り続けた。

蛍が死ぬことは、きっとこれから先も受け入れることなんてできない。

それでも…蛍が、手の届かないところに行ってしまっても…

「…ずっと一緒だ」

それだけは、変わらない。

俺たちの世界はここにある。

蛍と俺が、こうして同じ時間を生きているこの瞬間が、何よりも大切だから。

怖くても、先のことを完全に知ることはできなくても、
今こうして一緒にいる――それだけで、十分だった。


「どんなことがあっても、絶対に離さない」

蛍の穏やかな寝顔を前に、俺ははただそっと寄り添っていた。


そして、二人だけの静かな時間が、ゆっくりと流れていった。