蛍火のような恋だった



「頼むから、"うん"って言ってくれよ。約束してくれよ…」

「凪くん…」

「蛍、頼むから!」

気づけば、大きな声を出していた。

「凪くん…こっちに来て」

蛍が、両腕を広げて、俺を呼ぶ。

蛍の方に体を近づけると、蛍が優しく、俺の両頬に手を添える。

そして、そのまま俺の耳を、自分の心臓に押し当てた。

「…聞こえる?私の心臓の音。大丈夫、まだちゃんと動いてるよ」

ゆっくりと、それでも確かに一拍一拍を打つ鼓動が聞こえる。

それでも…蛍の心臓は、俺よりも先に止まってしまう。

それはどう足掻いても変えられないことだった。

「俺の心臓を、蛍にやれたらいいのに…」

蛍の心臓から顔を離して、そっと唇を重ねる。

目を閉じると、とめどなく涙が溢れてきた。

蛍が、そっとそれを拭ってくれるのがわかった。