蛍火のような恋だった


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病室に帰った私は、やりたいことリストをじっと眺めていた。

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《やりたいことリスト》
☑︎中学校に行ってみたい!

☑︎友達を作る!

☑︎彼氏と放課後デートしてみたい!

☑︎海に行きたい!

☑︎彼氏と夏祭りデート!

☑︎凪くんのリフティングを見る!

□凪くんに誕生日プレゼントを渡す(10/3)

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凪くんの誕生日プレゼントは、ちゃんと自分の手から渡したい…そう思った。

と、窓に何かが当たる音がして、私は顔を上げる。

真っ黒な空から落ちた雨粒が、窓を濡らしていた。

「…雨だ」

リストを閉じて引き出しにしまうと、近くにあったティッシュ箱を掴んで、てるてる坊主をひとつ作った。

それをもうひとつ、さらにもうひとつと何個も何個も作っていく。

昔、お父さんとお母さんと家で作ったように、たくさん。

10個作り終えた時、ノックする音がして、ドアが開いた。

「…凪くん」

いつもならすぐに入ってくる凪くんくんが、後ろを振り返る。

「わっ!」

と、誰かが一目散に駆け寄ってきて、抱きしめられる。

「蛍のバカ!」

1ヶ月ぶりに聴く、彩綾ちゃんの声だった。

「…彩綾ちゃん?」

体を離した彩綾ちゃんを見上げると、怒った顔をしながら、大きな瞳に、大粒の涙を浮かべている。

「よっす、蛍ちゃん」

「…峯岸くんも」

私は凪くんを見る。

「裕也も山田も、蛍に会いたがってたんだ」