蛍火のような恋だった



そっと、凪くんの頭を撫でると、凪くんは少し恥ずかしそうにしながらも目を閉じた。

しばらくすると、静かな規則正しい寝息が聞こえてきた。

「本当に疲れてたんだね…」

サラサラと流れる凪くんの髪を、そっと撫でる。

「ごめんね…」

毎日毎日病院に来てくれることは嬉しいのに、凪くんに大変な思いをさせている自分が、情けなくなる。

「愛してる」

凪くんを起こさないように、そっと頬にキスをする。

眠った顔は、少しだけ子供っぽい。

私は音を立てないように引き出しを開けて、スケッチブックを開いた。



私はその寝顔を、丁寧に、できるだけ正確にスケッチしていく。

目を閉じたままでも伝わる優しさ。

いつもは気づかないほど繊細なまつげの影。

描けば描くほど、胸が温かくなってーーー


気がついたら、頬を何粒もの涙が伝っていた。

こぼれ落ちた涙が、スケッチブックに水玉を描いていく。


忘れたくない。

凪くんとの日々を、思い出を。



「ありがとう…凪くんに出逢えて、本当によかったよ」

深い眠りに落ちた凪くんには、届かない。

そんな言葉を贈りながら、私はもう一度凪くんにキスをした。