蛍火のような恋だった



そして、今まで書いてきたページを、一枚一枚切り離していく。

「せっかく描いたのに、いいのか?」

「別に捨てるつもりじゃないよ。ね、凪くんちょっと手伝ってくれる?私あんまり動いちゃいけないって言われてるから」

全てのページを切り離し終えると、一枚を凪くんに渡した。

「これを全部、壁に貼って欲しいの」

「…これを?」

凪くんはどこか不思議そうに、手元の絵を見る。

「病院からの景色、ずっと見てきたらもう飽きちゃったの。これを壁に貼っておけば、少しは気分転換になるでしょう?凪くんといった海も、思い出せる」

凪くんは納得したように、「わかった」と返した。

そして、一枚一枚を丁寧に、壁に貼ってくれた。

「ありがとう。なんだか、個展みたい」

私はクスッと、肩を揺らして笑う。

「じゃあ俺が蛍の絵の、ファン第一号になるよ」

「それなら、今のうちにサイン貰っておいたほうがいいかもよ?こういう作品って、画家が死んだ後に輝くんだから」


冗談めかして笑った私に、凪くんはほんの一瞬だけ視線を伏せる。


そして、私の絵を焼き付けるように、ずっと眺めていた。