「凪くん、よく聞いてほしい。……あの子には、もう時間がないんだ」
その言葉に、胸がぎゅっと締め付けられる。
一瞬、耳を疑った。
「……そんな……」
言葉がうまく出てこない。
震える手を膝に押し当て、息を整えようとするが、鼓動だけが早まる。
お母さんが続けた。
「今年の冬を乗り越えられるかどうか、わからない。もう、できることは全て手を尽くしたの。だから、あとは蛍の心臓がどれくらい頑張ってくれるかによるの」
「さっきお医者さんから話を聞いたんだけど、心臓の機能が思っていた以上に落ちてるみたいなんだ。いつ、止まってもおかしくない状態だって言われてね…」
その言葉を聞いた瞬間、体の力が抜け、膝から崩れ落ちそうになる。
「…俺…」
声にならない声が喉に詰まる。
震える手を握りしめ、必死に呼吸を整えるが、胸の奥で何かがずっと痛む。
お父さんがそっと口を開いた。

