蛍火のような恋だった



声が、震えた。

胸の奥から溢れてくる想いを、どうにか言葉にする。

しばらく沈黙が落ちたあと、蛍のお父さんが小さく笑った。

「……やっぱり、そうなんだな」

「…え?」

「蛍が夏祭りや海から帰ってきた後に話をする時の顔で、なんとなく気づいていたんだ。きっと、その子は、蛍にとって特別な存在だって。君との出逢いが、あの子の生きる輝きになってたんだな…最期まで病院に閉じ込める選択をしなくて、本当によかった」

「……最期まで?最期までって、どういうことですか」

思わず問い返すと、ふたりは小さく息を呑んだ。

その表情は、苦しさと、悲しさが混じっている。

けど、全てを受け入れ、覚悟を決めている表情でもあった。

「蛍、いちばん大切なことを君に伝えていなかったんだな。前向きで、でもちょっと頑固で…あの子らしいよ」

蛍のお父さんは小さく笑って、涙を拭った。

そして、真っ直ぐに俺の目を見る。