蛍火のような恋だった



「凪くんは、蛍の病気のことは、知っていたのかな」

「…はい」

蛍のお父さんは「そうか」と呟いて、小さく頷く。

「もしかして、夏祭りも海にも一緒に行った子って、あなたのことかしら」

「はい」

「そう。あなたが、蛍をあんなにも笑顔にしてくれていたのね」

蛍のお母さんの言葉に、俺は目を見開く。

「あの子、学校に通うようになってから、本当に毎日楽しそうにしていたの。あんなに笑顔の蛍を見れるのは、久しぶりだったわ。ね?」

ふたりが顔を見合わせて頷いた。

「蛍が自分のことを話せて、それを受け入れて、一緒にいてくれる友達ができて、本当によかった。本当にありがとう」

俺は、拳を膝の上でぎゅっと握りしめた。

「あの…蛍さんは、ただの友達じゃありません。俺にとって、それ以上に大切な存在なんです」

喉の奥が熱くなって、言葉を止められなかった。

ふたりが、真剣な眼差しでこちらを見つめる。

「蛍さんと一緒にいる時間は、どんな瞬間も特別で……俺にとって、どんなものより大切な宝物なんです」