「やあ。君が今日、蛍と一緒に遊園地に行った友達かな」
「…はい」
蛍のお父さんが、優しい笑みを浮かべる。
笑った時に細まる目が、蛍とよく似ていた。
「まさか男の子の友達だったなんてなぁ。母さん、知ってたか?」
「いいえ、全然。私も、来てみてびっくり」
俺は想像もしていなかったふたりの反応に、動揺を隠せない。
てっきり、今日のことを咎められると思っていたから。
「あの…今日は、本当にすいませんでした」
俺は深々と頭を下げる。
やっぱり、あんな人混みで1日無理をさせてしまったせいかもしれない。
「君が謝る必要なんて、全くないんだ。だから顔をあげてくれないかな」
蛍のお父さんが、穏やかに言う。
俺はゆっくりと顔をあげた。
「まあ、君も疲れただろう。とりあえず、座ろう。そういえば、まだ名前を聞いてなかったな」
「中島 凪です」
「凪くん…いい名前ね」
蛍のお母さんの優しい声がした。

