観覧車のゴンドラがゆっくりと動き出す。
下に広がる遊園地の景色が少しずつ遠ざかっていくのを、蛍は目を輝かせながら見つめていた。
「わあ。上からだと、みんな小さく見えるね」
窓に顔を寄せる蛍の横顔は、陽の光に透けて本当にきれいだ。
心臓がうるさいほど鳴っているのに、気づかれていないだろうか。
「怖くない?」
「全然。むしろ気持ちいいくらい」
無邪気に笑うその声に、胸の奥がまた熱くなる。
俺は視線を外し、わざと窓の外を眺めた。
高いところは平気なはずなのに、今は景色よりも君が近くにいることの方がずっと落ち着かない。
「…静かだな」
「うん。上に来ると、別の世界みたい」
蛍が小さく呟く。
その言葉に頷きながら、俺は思う。
この狭い空間に君と二人きりでいられる時間が、俺にとっては何より特別なものだ、と。

