蛍火のような恋だった


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「私、凪くんとデートに行きたいな」

課題に目を落としていた凪くんが、顔をあげる。

数日前から学校は夏休みで、今日は凪くんと課題をやりに近くのカフェに来ていた。

「…今、その最中じゃないのか?」

凪くんの返しに、私は口を尖らせる。

「もっとカップルがデートするような、王道の場所に行きたいの」

そう言うと、凪くんは少し心配したように眉を落とす。

「…あんまり人混みが多いと、 蛍がしんどくなるんじゃないかって、俺」

「もう、心配しすぎ。私は全然大丈夫」

私はふと、最近テレビでやっていたcmを思い出す。

「私は、あそこに行きたい。最近リニューアルオープンしたってテレビで流れてる、テーマパーク」

「…本当に、大丈夫なのか?」

「うん。凪くん、一緒に行ってくれる?」

「いいけど…」

凪くんは、渋々私のわがままを了承してくれた。

凪くんといる日々は、私を普通の女の子にしてくれる。


それが、どんなことよりも嬉しい瞬間だった。