蛍火のような恋だった


と、今になって、肌がチリチリとしてきた。

「あーあ。見事に真っ赤っか」

やっぱり日傘が壊れた代償が大きかったのか、肌は熱を帯びて赤くなっている。

しばらくの間濡らしたタオルで冷やしていると、火照りも落ち着いてきた。

「ふぅ…」

ソファに崩れるように座った私は、隣にあったカバンから、スケッチブックをとりだした。

「今日は、描きたいもの見つからなかったな…」

真っさらなページを、パラパラとめくる。

ここ最近、ちゃんと描いた絵はひとつもない。

今日みたいな休日は色んなところを散歩しながら、自分が描きたいと思う景色を探している。

けど先週も、今日も、「描きたい」と思うような風景が見つからないでいる。