蛍火のような恋だった



ふたりは何のことか、さっぱりわからないといった様子で顔を見合わせていた。

「それじゃあ」

小さく会釈をして、今度こそ歩き出す。

「第二深見か…」

さっきの2人、私と同い年くらいだったし、きっとまた逢えるーーー。

自分でもよくわからないけど、そんな気がした。


✳︎
「ただいまー…って、誰もいないよね」

家に帰った私は折れた傘を玄関において、静まり返ったリビングに向かった。

「もう、お母さんまたカーテン開けてくの忘れてる」

どうりで、家全体が暗いわけだ。

閉まったままのカーテンを開ければ、一気に明かりが入ってきて、部屋の雰囲気はガラリと変わる。