君ともう一度、 恋を始めるために

一日の疲れがでたのか、家に帰るとすぐに莉奈は眠ってしまった。
そのかわいらしい寝顔を見ながら、柚葉は涙が流れた。
悔しいけれど、自分と暮らすよりも涼の元に行った方が莉奈は良い暮らしができる。
でも、莉奈は柚葉にとって自分の命と同じ。
たとえどんなことをしても、柚葉は莉奈を失いたくはない。
けれど、そのために涼の仕事の負担になることはしたくない。

ーーーこうなりたくなかったから、逃げていたのに・・・

誰にぶつけることもできない苛立ちを感じながら、柚葉はスマホを握りしめていた。
できることなら今すぐに電話をして、涼にすべてをうちあけたい。
涼のことだから、何かいい策を考えてくれるかもしれない。
でも、それはできない。
どうしようもない思いを抱えながら、柚葉は涙をぬぐった。