君ともう一度、 恋を始めるために

玲奈は莉奈の父親が涼だと思っている。
そこになんだかの根拠があるのか、ただの推測なのかはわからないが、事情を分かっていて連れ出したのだ。
そうなると話はそう単純ではなくなる。

「4年間もよく隠しきれたものね」

少し皮肉気に口元を緩ませる玲奈が何を考えているのか、柚葉にはわからない。
ただはっきりとしているのは、このままではマズイということ。

「一体何が目的ですか?」

他に聞きようがなく、直球を投げてみた。

「莉奈ちゃん、私が引き取るわ」
「そんなこと、絶対にさせない」

ある程度想定した答えだった。
もしかしたらそんなことを言い出すのかもしれないと、柚葉だって考えなかったわけではない。
しかし、とてもじゃないけれど受け入れることはできない。

「莉奈ちゃんにとっても、私と涼に育てられる方が幸せなはずよ」
「それは・・・」

贅沢に暮らせるということが幸せだというならそうかもしれない。そう思ったら、柚葉は言い返すことができなくなった。