君ともう一度、 恋を始めるために

電話を切ると、柚葉は急いで門司へ向かった。
どうか無事に莉奈が見つかりますようにと、祈る気持ちだった。

ーーーそれにしても、どうして莉奈が・・・

柚葉自身、人から恨みをかう覚えはないし、妬まれるほどの人生を送ってきたつもりもない。
そもそも門司に来て2ヶ月も経たないのに、トラブルに巻き込まれる心当たりもない。

ーーーもしかして、誘拐?

頭の中に浮かんだ言葉。
しかし、母子家庭でこれといった資産もない家の子を誘拐する意味があるとは思えない。

―――じゃあ、なぜ?

いくら思いを巡らせても、答えは出てこない。
焦る気持ちとイライラを抱えながら柚葉は門司の駅へ着き、祖母の家に駆け出そうとした。
その時、

「ママー」

莉奈の声が聞こえ、柚葉の足が止まった。