「柚葉は、このままでいいの?」
「それは・・・」
柚葉だって、このまま黙っていればいいとは思っていない。
時期が来たら、きちんと話をしなくてはいけないと覚悟もしている。
しかし、今はまだそのタイミングではない。
もう少し門司での生活基盤を整えて、「ここで私が莉奈を育てていきます」と言える日が来たら涼にも話をするつもりだった。
「今はまだ、時間が欲しいの」
柚葉の心配の一つは経済的な基盤のない自分が母親と認められず、莉奈を奪われるのではないかということ。
そしてもう一つは、柚葉や莉奈の存在が涼の負担になるのではないかということだった。
まだ正式発表にはなっていないが、涼と玲奈との結婚話も進んでいると恭介から聞いているし、こんなタイミングで涼に子供がいたなんてことが世間に知れれば、大騒ぎになることだろう。
そうなれば莉奈だって、世間の目にさらされてしまう。
それだけはどうしても避けたかった。
「何があっても、莉奈ちゃんのことを一番に考えてあげなさいね」
「ええ、わかっているわ」
涼は神崎ホテルグループの社長として世間から注目を集める存在。
ネットやニュースを見ていれば、名前や写真を頻繁に目にする。
そう言えば今朝のニュースでも神崎ホテルグループのヨーロッパ進出が取り上げられていて、涼がインタビューに答えていた。
こういう記事を見るたびに柚葉は涼との距離を感じてしまい、やはり住む世界の違う人ではないかと不安にもなるが、柚葉が愛した人であり莉奈の父親であることには違いない。
愛する娘のためにも逃げ出すことはできないのだと、柚葉は覚悟を決めていた。
「それは・・・」
柚葉だって、このまま黙っていればいいとは思っていない。
時期が来たら、きちんと話をしなくてはいけないと覚悟もしている。
しかし、今はまだそのタイミングではない。
もう少し門司での生活基盤を整えて、「ここで私が莉奈を育てていきます」と言える日が来たら涼にも話をするつもりだった。
「今はまだ、時間が欲しいの」
柚葉の心配の一つは経済的な基盤のない自分が母親と認められず、莉奈を奪われるのではないかということ。
そしてもう一つは、柚葉や莉奈の存在が涼の負担になるのではないかということだった。
まだ正式発表にはなっていないが、涼と玲奈との結婚話も進んでいると恭介から聞いているし、こんなタイミングで涼に子供がいたなんてことが世間に知れれば、大騒ぎになることだろう。
そうなれば莉奈だって、世間の目にさらされてしまう。
それだけはどうしても避けたかった。
「何があっても、莉奈ちゃんのことを一番に考えてあげなさいね」
「ええ、わかっているわ」
涼は神崎ホテルグループの社長として世間から注目を集める存在。
ネットやニュースを見ていれば、名前や写真を頻繁に目にする。
そう言えば今朝のニュースでも神崎ホテルグループのヨーロッパ進出が取り上げられていて、涼がインタビューに答えていた。
こういう記事を見るたびに柚葉は涼との距離を感じてしまい、やはり住む世界の違う人ではないかと不安にもなるが、柚葉が愛した人であり莉奈の父親であることには違いない。
愛する娘のためにも逃げ出すことはできないのだと、柚葉は覚悟を決めていた。



