君ともう一度、 恋を始めるために

おそらく涼は、莉奈が柚葉の娘だとうすうす気付いている。
そんな状況で何も答えず無言でいれば、疑いが増すばかり。
なんとかして涼の納得する言い訳を考えなくてはいけないと頭ではわかっているのに、柚葉には何も浮かんでこなかった。

「莉奈ちゃんって言うんだな。何歳?」
「・・・3歳」

本当はもうすぐ4歳になるのだが、3歳と答えておけば涼と別れた後に付き合った人との子供だと思ってくれるかもしれないと咄嗟に考えた。
今はまだ、莉奈が涼の子供だと伝える訳にはいかないのだ。

「柚葉、結婚は・・・」
「していないわ」
「じゃあ・・・」

おそらく、莉奈の父親は誰かと聞きたいのだろう。
しかし、柚葉は再び口を閉ざしてしまった。