君ともう一度、 恋を始めるために

「大丈夫?」

よく見ると顔の所々に擦り傷や出血の跡を残し、頭には大きな包帯を巻いた状態の莉奈が痛々しくて、柚葉は胸が痛くなった。


「猫ちゃんと遊びたくてお庭に出たら、転んじゃった」
「まあ」

動物好きの莉奈のことだから、好奇心が勝って出てしまったのだろう。
外とはいえ祖母宅の敷地内だし本来なら危険な場所ではないため、そのこと自体を強く叱る訳にもいかないが、頭を打っているらしいと聞くとやはり心配になる。

「意識もはっきりしているし、小さな子供だからCTまではとらないけれど、今夜一晩は入院して様子を見た方がいいらしいわ」

不安そうにしている柚葉に、一緒に診察を受けていた祖母が教えてくれた。

「そう、わかったわ」

病院の先生がそういうのだから大丈夫なのだろう。
この時点で、柚葉はやっと息をついた。
その時、背後から思ってもみなかった人の声が聞こえてきた。