「柚葉は、もう俺のことが嫌いか?」

真っすぐに見つめたまま聞かれ、言葉に詰まった。

「もう、一ミリの可能性もないのか?」
「それは・・・」

できることならば、「私も涼のことが好きよ」と言ってしまいたい。
このまま涼の胸に飛び込んでいけたらどれだけ幸せだろうと思う。
でも、そんなことはできない。
柚葉には守らなくてはいけない存在、莉奈がいるのだ。

「すぐに答えをくれというつもりはない。長い間ほったらかしにしていた俺に、答えを急かす資格はないと思っている。ただ、こうして会う機会を与えてほしいんだ」

頼むよと涼はテーブルに手を突き頭を下げた。

「お願い、やめて」

柚葉は慌てて涼の手をとった。

「じゃあ、また会ってくれるんだな?」

涼にここまでされては断ることができず、柚葉は仕方なくうなずいた。