そして涼の嫌な予感は的中し、恭介と共にいる柚葉と再会した。

泥酔し恭介に抱えられた柚葉を見た時のショックはあったが、それ以上に再び柚葉に会えた喜びの方が大きかった。
恭介への憎しみよりも、やっと柚葉を抱きしめられたことがうれしくて、もう二度と手放さないぞと誓った。
その後、自分で帰ると言い張る柚葉にもう終電だからと部屋をとり、寝室に入るところまで見届けた。
今まで待ったのだから、これ以上強引なことをするつもりはない。
ただ一緒にいられるだけでうれしかった。
朝になったら一緒に食事をして家まで送って行こうと思っていた。
だが、朝目が覚めるとリビングのテーブルの上に数万円のお金を残し柚葉は姿を消していた。

―――相変わらずだな

お金を入れた封筒には、綺麗な字で「ありがとうございました」の文字。
見慣れた筆跡に怒りよりも懐かしさがこみ上げ、涼は封筒をそっと握りしめた。