その後、簡単な軽食とビールとミネラルウォーターをルームサービスで注文し、涼は広いリビングのゆったりとしたソファーに座った。
さっきまで不機嫌そうに立ち尽くしていた柚葉も諦めたように向かいのソファーに腰を下ろす。
「この4年間どうしていたんだ?」
「どうって、あの頃のままよ。住む場所は変わったけれど、昼間はカフェで働いて、時々近所を散歩して本屋さんを覗いたりしながら暮らしていたわ」
これは嘘ではない。
ただ、そこに娘の莉奈がいたことを告げていないだけ。
「うらやましい位穏やかな暮らしだな」
「そうね」
この4年間世界各地で忙しく働いてきた涼からすればとても幸せな時間に感じられたのだろた。
「柚葉は小学校の先生になったっと思っていたよ」
「色々悩んで、カフェで働きながら好きな本に囲まれて暮らすことを選んだの」
大学では教育学部を選び国語教師になることが柚葉の夢だったが、その道には進まなかった。
「俺もそんなふうに暮らしたかったな」
神崎グループの社長に就任するために求められるものは決して低くは無いのだろう。
たとえ創業家の直系として生まれていても並大抵の試練ではなかったはずだ。
ましてや実直で真面目な涼のことだから、仕事に手を抜くはずもない。
「大変だった?」
わかっていたことなのに思わず口をついて出た言葉。
「そうだなぁ。仕事の事以外を考える時間は全くなかった」
誇張ではなく、きっとそうだったのだろうなと柚葉も納得できた。
しかし、柚葉にだってこの4年は大変な時間だった。
その思いを打ち明けたくて、口にはできない。
込み上げる思いに、柚葉は目頭が熱くなった。
さっきまで不機嫌そうに立ち尽くしていた柚葉も諦めたように向かいのソファーに腰を下ろす。
「この4年間どうしていたんだ?」
「どうって、あの頃のままよ。住む場所は変わったけれど、昼間はカフェで働いて、時々近所を散歩して本屋さんを覗いたりしながら暮らしていたわ」
これは嘘ではない。
ただ、そこに娘の莉奈がいたことを告げていないだけ。
「うらやましい位穏やかな暮らしだな」
「そうね」
この4年間世界各地で忙しく働いてきた涼からすればとても幸せな時間に感じられたのだろた。
「柚葉は小学校の先生になったっと思っていたよ」
「色々悩んで、カフェで働きながら好きな本に囲まれて暮らすことを選んだの」
大学では教育学部を選び国語教師になることが柚葉の夢だったが、その道には進まなかった。
「俺もそんなふうに暮らしたかったな」
神崎グループの社長に就任するために求められるものは決して低くは無いのだろう。
たとえ創業家の直系として生まれていても並大抵の試練ではなかったはずだ。
ましてや実直で真面目な涼のことだから、仕事に手を抜くはずもない。
「大変だった?」
わかっていたことなのに思わず口をついて出た言葉。
「そうだなぁ。仕事の事以外を考える時間は全くなかった」
誇張ではなく、きっとそうだったのだろうなと柚葉も納得できた。
しかし、柚葉にだってこの4年は大変な時間だった。
その思いを打ち明けたくて、口にはできない。
込み上げる思いに、柚葉は目頭が熱くなった。



