「柚葉」
どのくらい時間が経った後だろうか、涼はその場に膝を突きそっと柚葉を抱きしめた。
見ると、すぐ近くに恭介が倒れ込んでいる。
この時点でも柚葉はかなりアルコールの回った状態だった。
混乱する思考と薄れる意識の中で、久しぶりに涼の温もりを感じていた。
「大丈夫か?」
「ええ」
柚葉は小さくうなずくと、自ら涼の背中に手回した。
もしこの世の中に神様がいるのなら、今この時間を私にください。
たとえどんな罰を受けてもいいから、今だけ涼のそばでその息づかいを感じていたい。
―――ーずっとあなたを待っていた。
何年経っても涼のことを忘れることはできなかった。
それは単に莉奈の父親だからということではなく、涼との出会いこそが柚葉にとって運命そのものだったのだ。
おとなしい性格の柚葉は人と競うことが好きではない。争うぐらいなら諦めてしまう。
もちろん人のものを奪おうなんて考えたこともないけれど、今、心が震えるほどに涼が欲しい。
これは初めて知った感情だった。
どのくらい時間が経った後だろうか、涼はその場に膝を突きそっと柚葉を抱きしめた。
見ると、すぐ近くに恭介が倒れ込んでいる。
この時点でも柚葉はかなりアルコールの回った状態だった。
混乱する思考と薄れる意識の中で、久しぶりに涼の温もりを感じていた。
「大丈夫か?」
「ええ」
柚葉は小さくうなずくと、自ら涼の背中に手回した。
もしこの世の中に神様がいるのなら、今この時間を私にください。
たとえどんな罰を受けてもいいから、今だけ涼のそばでその息づかいを感じていたい。
―――ーずっとあなたを待っていた。
何年経っても涼のことを忘れることはできなかった。
それは単に莉奈の父親だからということではなく、涼との出会いこそが柚葉にとって運命そのものだったのだ。
おとなしい性格の柚葉は人と競うことが好きではない。争うぐらいなら諦めてしまう。
もちろん人のものを奪おうなんて考えたこともないけれど、今、心が震えるほどに涼が欲しい。
これは初めて知った感情だった。



