「ママ、どうしたの?」
動けなくなった柚葉に、莉奈も不思議そうな顔をする。
「どうもしないよ。さあ、行きましょう」
「はーい」
何も知らない莉奈は嬉しそうに手を挙げて返事をした。
一方柚葉は、早くこの場所を離れたいその一心で莉奈の手を引き歩き出した。
涼と一緒に実家に行った事は無いが、毎年手紙を送ってくるところを見ると住所は知っているはずで、このままでは涼と出会ってしまうのも時間の問題だ。
―――どんなことがあっても、莉奈のことを守らなくてはいけない。
涼がなぜ今下関までやってきたのか、正直柚葉にもわからない。
ただ、忙しい涼がたまたま下関にいたなんて事は考えにくく、やはり柚葉を追ってきたのだろうと思うしかない。
本当は今夜実家に1泊し明日門司向かうつもりだった。莉奈と会うことを楽しみにしていた父は申し訳ないが、すぐそこまで涼が迫っている以上このまま門司にいる祖母の元へ向かうのが最善策に思えた。
しかしその前に、柚葉にはここ下関でどうしても会いたい人がいた。
動けなくなった柚葉に、莉奈も不思議そうな顔をする。
「どうもしないよ。さあ、行きましょう」
「はーい」
何も知らない莉奈は嬉しそうに手を挙げて返事をした。
一方柚葉は、早くこの場所を離れたいその一心で莉奈の手を引き歩き出した。
涼と一緒に実家に行った事は無いが、毎年手紙を送ってくるところを見ると住所は知っているはずで、このままでは涼と出会ってしまうのも時間の問題だ。
―――どんなことがあっても、莉奈のことを守らなくてはいけない。
涼がなぜ今下関までやってきたのか、正直柚葉にもわからない。
ただ、忙しい涼がたまたま下関にいたなんて事は考えにくく、やはり柚葉を追ってきたのだろうと思うしかない。
本当は今夜実家に1泊し明日門司向かうつもりだった。莉奈と会うことを楽しみにしていた父は申し訳ないが、すぐそこまで涼が迫っている以上このまま門司にいる祖母の元へ向かうのが最善策に思えた。
しかしその前に、柚葉にはここ下関でどうしても会いたい人がいた。



