君ともう一度、 恋を始めるために

涼の父は国内外で名の知れた敏腕経営者。
祖父の代から続く神崎グループを世界でも通用するホテルグループに育てあげた人物だ。
だからこそ、父は厳格な人で、家の名誉を何よりも重んじる。
一方母は社交界にも顔が効き、涼の嫁には「家にふさわしい相手」を求めていた。
柚葉は庶民的な環境で育ち、2人がかけ離れた場所にいることは涼にもわかっていた。
それでも涼は両親にも紹介し正式に交際をしようとしたのだが、ちょうど同じタイミングで涼の海外勤務の話が決まってしまった。
もちろん、家族に「一緒に行きたい女性がいる」と伝えたが、家族は冷ややかな反応を示し、父からは「今のお前に守ってやれるのか？」と聞かれた。
当時の涼にはその真意がわからなかったが、すぐに現実を知ることになった。