君ともう一度、 恋を始めるために

これから先の人生、たとえどんな妨害があろうとも二度と涼をあきらめないと柚葉は決めていた。
しかし、旅館の再開や後継の問題もあり今すぐ涼の元に飛び込んでいくことはできない。
いずれにしても、まだまだ時間がかかりそうだ。
真っ赤な鳥居が幾重にも並ぶその前で涼の母と共に楽しそうに笑いあう莉奈を見ながら、柚葉は小さく肩を落とした。

「大丈夫だよ、心配はいらない。すでに地元の商工会と共同で温泉街の特色を生かした地域活性化プロジェクトも動き出しているし、旅館の今後についてもいくつかの案を用意している。ちゃんと柚葉やおばあさんの望むような形にするから」

どうやら柚葉の心配は涼に伝わってしまったようだ。

「涼、ありがとう」

高齢のためてきぱきと動くことが難しい祖母も、春までには仕事に復帰して旅館の陣頭指揮を執ることができるだろう。
そして温泉街が賑わいを取り戻し、旅館の経営が軌道に乗れば、先のことを考えられるようになるはずだ。

「実は、柚葉にはまだ言っていなかったんだが、お父さんからこっちに来て旅館を手伝いたいって申し出があってね」
「え、お父さん?うちの?」
「ああ」

思ってもみなかった話に、柚葉は驚いてしまった。