君ともう一度、 恋を始めるために

その後空港から宿泊先のホテルに移動し、それからがまた慌ただしかった。
今回涼の母が門司までやって来たのはもちろん柚葉や莉奈に会うためなのだが、実はもう一つ目的がある。
それは莉奈に着物を着せて初詣をすること。
今3歳の莉奈がまだ七五三の祝いをしていないと聞き、着物一式持参して駆け付けたのだ。

「まあ莉奈ちゃん、とってもかわいいわ」

赤に金糸の入った総柄の着物を着せてもらった莉奈を見てまるで少女のような笑顔になる涼の母は、柚葉から見てもかわいらしい。
かといって下品でも子供っぽくも感じないのは涼の母が持つ気品がにじみ出ているからだろう。

「この着物は私が七五三の時に実家の母が作ってくれたものなのよ。いつか自分の娘が生まれたら着せるつもりだったけれど私は男の子一人にしか恵まれなかったから」
「お母さま」

少し寂しそうにうつむいた母に、柚葉はそっと歩み寄った。