君ともう一度、 恋を始めるために

「柚葉、生んでくれてありがとう。そして、今まで苦労をさせて申し訳なかった」
「そんな・・・」

シングルマザーは柚葉自身が選んだ道だ。

「俺はね、柚葉の過去を含むすべてを愛している。もし莉奈ちゃんが俺の子ではなかったとしても、一緒に守っていくつもりだった」
「涼」

そこに込められた思いに心が震え、柚葉の目から涙が溢れる。

「バカだなあ、泣くなよ」
「・・・ありがとう」

柚葉は涙を隠すように、涼の胸に顔を埋めた。

「これからも、俺の側にいてくれるか?」
「はい」

涼に抱きしめられたまま、柚葉は躊躇うことなく返事をした。

「何かあったら、すぐ俺に知らせてくれ」
「うん」
「絶対だぞ」
「わかっています」
「本当に?」
「もう」

一瞬体を離し、見上げた先にあった涼の顔に唇を尖らせる。
普段は見せない柚葉のかわいらしさに、涼は思わず唇を重ねた。

ーーーん、んん。

声にはならない声が柚葉から洩れる。
どんなに強がっていても涼から離れることができないのだと、流れ込む温もりの中で柚葉は感じていた。