君ともう一度、 恋を始めるために

涼が頼りないなんてことはない。
どちらかというと、問題は柚葉の方にあるだろう。

「心配をかけたくなかっただけよ」
「そんな気遣いはいらない。俺は柚葉のことは何でも知りたいんだ」
「涼・・・」

普段から人に甘えたり頼ったりすることが苦手な柚葉は、自分に気持ちを表現するのも得意ではない。
だからこそ、莉奈の出生についても話せないままでいた。

「俺達にはまだ話さなくてはいけないことがたくさんあると思う」
「うん」

柚葉にも心当たりがあり、素直にうなずいた。

「4年も離れていたんだから色んな事があって当然だ」
「そうね」

返事はしたものの、柚葉は後ろめたさを感じていた。
今夜の莉奈と涼の様子を見ていて、莉奈のためにも伝えなくてはいけないと感じた。
そして、今しかないと思えた。

「ねえ涼、聞いてほしいの」

柚葉は真っすぐに涼を見つめた。

「何、聞かせて」

涼もまた緊張の面持ちで、柚葉に向き直った。