君ともう一度、 恋を始めるために

涼の口から出てきた言葉に、柚葉は固まった。
もちろん、今はまだ簡単に返事ができる状況ではない。
なにしろ涼は神崎ホテルグループの社長であり玲奈というフィアンセがいるのだ。

「俺はね、柚葉に何かあった時に一番最初に駆け付ける人間でありたいんだ」
「うん」

ーーーその気持ちは、よくわかる。

柚葉自身、涼が異国の地で倒れたのにすぐに駆け付けることもできないことにもどかしさを感じた。
その後も容態が気になり気が気ではなかった。

「今回のことだって、嫌がらせが始まった時点で知らせてほしかった」
「それは・・・」

柚葉には柚葉なりの思いがあり、涼に心配をかけたくないととった行動だった。

「もっと甘えて頼ってくれよ。それとも、俺では頼りないのか?」
「そんなことないよ」

涼に顔を覗きこまれ、柚葉は大きく頭を振った。