君ともう一度、 恋を始めるために

「お兄ちゃん、帰っちゃうの?」
「うん。莉奈ちゃんが眠ったらね」
「えー」
「莉奈、わがまま言ってはダメよ」
「はーい」

プーっと頬を膨らませた莉奈がとってもかわいいが、いつも聞き分けがいい莉奈の甘える姿に柚葉は驚いた。
態度には出さないけれど、莉奈はずっと寂しい思いをしていたのかもしれない。一人で頑張る柚葉にわがままも言えず、きっと我慢していたのだろう。そう思うと、柚葉は心が痛んだ。

「じゃあ、莉奈ちゃんが眠るまで絵本を読んであげるよ。だからお風呂に入っておいで」
「ヤッター」

終始笑顔の莉奈は飛び跳ねるようにお風呂に向かって行った。

「柚葉もお風呂に入っておいで。その間にここは片づけておくから」
「ありがとう」

柚葉は涼の言葉に甘えて莉奈の後を追いお風呂に向かった。