君ともう一度、 恋を始めるために

涼が用意してくれた夕食は、大人用にお寿司とサラダと揚げ物や煮物などのオードブル、莉奈には子供用のお子様プレートでオムライスやハンバーグ、パスタやフルーツなどがきれいに盛り付けられていた。

「莉奈、オムライス好き」
「そうね、良かったわね」

卵に包まれたケチャップライスをスプーンですくいながら、莉奈もご機嫌だ。
先日病院で会ったとはいえ言葉を交わすことが初めての涼に莉奈がどんな反応をするのだろうかと心配していたが、驚くほど自然に二人は仲良くなった。
涼のことを「お兄ちゃん」と呼び、一緒に遊んでいる。

「莉奈ちゃん、美味しい?」
「うん」
「柚葉もちゃんと食べるんだぞ」
「ええ、ありがとう」

誰かが用意してくれた食事を食べるのはいつぶりだろうか。
普段ならこの後莉奈をお風呂に入れて寝かしつけて、その後に片付けや洗濯明日の用意をしなくてはならない。そんなことを考えていたらゆっくりと夕食を楽しむ余裕はなかった。
今日は涼が莉奈の相手をしてくれるから家事もはかどり、その分気持ちの余裕も生まれる。
柚葉は感謝の思いで、楽しそうに過ごす涼と莉奈を見つめていた。