君ともう一度、 恋を始めるために

「失礼ですが、あなた方はどなたの依頼でここにおいでですか?」

怒る風でもなく、速水不動産を名乗った男性たちに淡々と尋ねる声の主は、涼だった。
なぜ、どうしてここに?
そう思うより先に安堵感の方が先に立って、柚葉は涼に歩み寄った。

「もう、大丈夫だ」

そう言って柚葉をかばうように前へと進み出た涼は、ゆっくりと周囲を見回した。

「火事になり営業休止中の旅館にアポイントもとらずいきなりやって来たのなら失礼極まりない話ですが?」
「それは・・・」
「あなた方のそういう行動こそが風評被害の元凶となるのですよ」
「我々はそういうつもりではありません」
「じゃあなぜ、ここに来たのですか?」
「それは、本社の指示で・・・」

ーーーやはり、そういうことか。

この瞬間、柚葉は今回の件に玲奈が関わっているのだと確信した。