君ともう一度、 恋を始めるために

「いらっしゃいませ」
「こんにちわ、日替わりのランチをひとつ」
「はい」

昼時になり、慣れた様子で入ってきて窓際の席に座るのは常連客の望月恭介。
週に2度ほど顔を出す彼は、柚葉と涼の出会いから別れまですべてを知る数少ない人物だ。
元々涼とは大学からの友人で、当時は2人とも大阪で勤務していた。
当然柚葉とも面識があり、3人で飲みに行くことも珍しくなかった。
もちろん、柚葉と涼が分かれた後は会うこともなかったのだが、3年前柚葉が風見鶏に勤めるようになったタイミングで偶然再会したのだ。
年齢は涼と同じ30歳。
身長は178センチ、ジム通いが趣味というだけあって筋肉質で、後ろ姿は昔から涼とそっくりだった。
今は大手総合商社の京都支社で、国際貿易を担当しているらしい。

「ねえ、柚葉ちゃん」
「え、何?」

恭介の後ろ姿に涼の面影を重ねつい見とれてしまっていた柚葉は、急に声をかけられ驚いた。