君ともう一度、 恋を始めるために

自宅へ帰ったものの、柚葉はまだ現実が飲み込めないでいた。

「大丈夫か?」
「ええ」

つい先日倒れたばかりの涼に心配されることが、柚葉は不思議な気分だった。

「入院中ではないの?」

未だ神崎家からの退院発表がないため、巷では涼の重病説まで飛び交っている。
その人が突然目の前に現れたのだ、すぐに信じられなくて当然だろう。

「入院中だよ」

なぜだろう、涼はおかしそうに笑う。

「じゃあ、ここにいるあなたは誰なの?」

目の前にいるのは間違いなく涼本人だ。
そのことは柚葉にもわかっている。
だからこそ、この状況が理解できないでいた。

「どうしても柚葉に会いたくて、病院を抜け出してきたんだ」
「そんな・・・」

柚葉は不満げに涼を睨んだものの、やはり再会できたことはうれしかった。

「柚葉、会いたかったよ」

そう言って涼が両腕を広げた瞬間、柚葉の中で何かが堰を切った。
込み上げる感情に柚葉は飲み込まれ、気が付けば涼の胸に飛び込んでいた。