「そういえば、向こうの通りに新しいホテルができるらしいぞ」
モーニングを食べ終えた常連客が地元の開発について話し始めた。
古くからこの街に暮らし、家や家業を守ってきた人たちにとっては、昨今の都市開発は気になる話題なのだろう。
「俺も聞いた。インバウンド需要でホテルの建設ラッシュは以前から続いているが、とうとう神崎グループが進出するらしい」
「あそこは新社長になってからかなり手広く新規開発をしているが、評判は悪くないようだ」
「そんなこと言ったってチェーンのホテルだろ。大手であればあるだけ営利を目的にする派手な建物が立つんじゃないのか?」
「そうとも言えないぞ。神崎グループは従来のものを壊すだけじゃなく、既存の建物や自然を残した形で環境にも配慮が行き届いているからな」
「へー、そうか」
―――え、神崎グループ?
常連たちの話す内容よりも、柚葉には聞こえてきた神崎グループの名前が耳に残った。
神崎グループは日本を代表するリゾート開発企業で直営するホテルだけでも国内外合わせて100を超える。
そして、4年前に別れた彼、神崎涼の実家が経営する会社でもある。
「柚葉ちゃん、顔色が悪いけれど大丈夫?」
「ええ、大丈夫です」
久しぶりに神崎の名前を聞き、柚葉は動揺した。
今まで4年間も遠い存在だった涼を急に身近に感じて不安になった。
―――イヤイヤ、まさか、彼が近くに来るなんて…
不安を吹き消すように柚葉は頭を振った。
しかし、こういう希望的観測に限って外れるのだということを、柚葉は実感することになる。
モーニングを食べ終えた常連客が地元の開発について話し始めた。
古くからこの街に暮らし、家や家業を守ってきた人たちにとっては、昨今の都市開発は気になる話題なのだろう。
「俺も聞いた。インバウンド需要でホテルの建設ラッシュは以前から続いているが、とうとう神崎グループが進出するらしい」
「あそこは新社長になってからかなり手広く新規開発をしているが、評判は悪くないようだ」
「そんなこと言ったってチェーンのホテルだろ。大手であればあるだけ営利を目的にする派手な建物が立つんじゃないのか?」
「そうとも言えないぞ。神崎グループは従来のものを壊すだけじゃなく、既存の建物や自然を残した形で環境にも配慮が行き届いているからな」
「へー、そうか」
―――え、神崎グループ?
常連たちの話す内容よりも、柚葉には聞こえてきた神崎グループの名前が耳に残った。
神崎グループは日本を代表するリゾート開発企業で直営するホテルだけでも国内外合わせて100を超える。
そして、4年前に別れた彼、神崎涼の実家が経営する会社でもある。
「柚葉ちゃん、顔色が悪いけれど大丈夫?」
「ええ、大丈夫です」
久しぶりに神崎の名前を聞き、柚葉は動揺した。
今まで4年間も遠い存在だった涼を急に身近に感じて不安になった。
―――イヤイヤ、まさか、彼が近くに来るなんて…
不安を吹き消すように柚葉は頭を振った。
しかし、こういう希望的観測に限って外れるのだということを、柚葉は実感することになる。



