君ともう一度、 恋を始めるために

「あら、神崎さん」

ちょうどフロントの奥から出てきた祖母が、涼を見つけ声を掛ける。

「ご無沙汰しています。突然おじゃましてすみません」
「いえ、いいんですよ。ようこそいらっしゃいました」

祖母と涼の何気ない会話を聞きながら、柚葉はやっとこれが現実なのだと自覚した。

「柚葉、少し話ができるかい?」

一通り挨拶が終わった後、涼が柚葉に尋ねた。

「え、ええ」

驚きはあるものの、この期に及んで柚葉に断る理由もなく素直にうなずいた。

「今日の午後はお休みにしておくから、ゆっくり話して来なさい。莉奈ちゃんも私がお迎えに行ってあげるからね」
「ありがとう、おばあちゃん」
「ありがとうございます」

結局祖母に促され、柚葉は涼と旅館の隣にある自宅へと向かうことになった。