君ともう一度、 恋を始めるために

門司にやって来て数ヶ月の柚葉を尋ねてくる客に覚えはなかった。
一体誰だろうと思いながらフロントまでやって来ると、そこにはスーツを着た男性が立っていた。

「う、そ」
思わず口から出た言葉。

現実を受け入れられない思いで固まった柚葉に、男性がゆっくりと振り返った。

「柚葉」

それは聞き間違えるはずのない声。
そこにいるのは、柚葉が夢にまで見た人物。

「どうして?」

うれしさよりも驚きの方が勝ってしまい、柚葉は唖然とした。

「君に会いたくて、ここまで来たんだ」
「そんな・・・」

今起きていることが現実か夢かがわからなくなって、柚葉は動けなかった。
お願いだから夢なら覚めないで欲しいと祈り続けていた。