今夜もまた あの方が来られた。

私の心臓は、とくんと鳴る。

でも今日はお一人ではない。明かりを持った殿方を一人、伴われている。

それに、笛すら持たれていない。

「本当に、昨日ここで素敵な姫の声を聞いたんだがなぁ」

あの方がそういって、首を捻られている。

……素敵な姫君。

それは、どう考えても私のこと。