それを打ち明けてどうするんだろう?




みんなで共有して二人を応援する為?




そもそもグループの誰かが恋愛したら共有事項にしなきゃいけないルールなんてのも、もちろん存在しない。




だいたい私は二人の関係自体、特に知りたかったわけじゃない。




胡兎は知りたがってたけど。





「違うの。和哉(かずや)君が悪いんじゃないの。」




「違わなくない。雫は悪くなくて、オレだけが悪い。」




二人のやり取りを見て私の苛立ちのボルテージは最高潮を迎え、ついに今、はっきりとわかった。




わかったっていうか、変わった。




苛立ち、からムカつきへと。




自分はムカついているんだと正直に自覚した。





昼間、雫がレッスンルームでボーッとしてたのは仕事の事じゃなく、この男の事を考えてたからなのかよ!?





寮に一人残された雫を、なんだか置いてけぼりにしてしまった気持ちだったのに、実際のところ置いてけぼりを食らっていたのは自分だった…みたいな。