────段ボールの荷物だらけの部屋の真ん中で、私と胡兎、それから雫と例の男は小さなテーブルをはさみ、向かい合う形でフローリングの床に直に座った。
例の男、は昼間、胡兎に見せてもらった画像のグループに所属する仁科和哉(にしな かずや)君というメンバーで、今現在、雫とそういう仲…っていうことらしい。
「とにかく、怪我が無くて良かったよ。」
言いたい事と訊きたい事は山程あったけど、気まずい空気の中、私の口からまず出てきたのは無難に二人への心配のセリフで、なんだか自分が情けなくなってくる。
「水臭いね〜。もっと早く教えてくれれば良かったのに。」
胡兎はこんな面白い事があるならもっと早く知りたかった、と言わんばかりの顔でニヤニヤしながら二人を交互に見比べている。
「ごめん………。」
責められているわけでもないのに、雫は小さくなって謝罪の言葉を口にする。
