胡兎は薄茶色の瞳を大きく開いて驚いた表情を作り、大袈裟に手を振って否定する。




「胡兎!そんな言い方は…。」





「ごめん。もう言わない。本当に。」





本日三度目の“ごめん”は私をウンザリさせるには十分過ぎで、悲しくなった。






プロのダンサーにだってなれるくらいの実力を持っている胡兎。



きっと本当は“アイドル”じゃなくて“アーティスト”になりたかった。




グループへの加入を決断してくれたのは、私達の事務所も、提携しているレコード会社も、表向きはアイドルではなく“音楽グループ”という名目でメンバーの募集を募っていたからだと思う。