「ごめん。もう一回謝る。もう解散とか言わない。」
いつもより真剣な顔でそう言った胡兎の言葉は思いのほか心強く聞こえて、自分の思っている事をちゃんと伝えるのが大切なんだな、と。
「わかってくれたならいい。」
私も笑って応える。
「でも、いつでも朱理はひとりでやっていけるくらいの知名度あるからさ?そんな朱理がいるリアラ(リアライズ)だから、私はいつものびのびと適当にやらせてもらってるし〜。」
私を褒めてくれると同時にいつもの調子に戻る胡兎。
「違うって。私よりも真鵺がいるから安泰なんだよ。」
これも嘘とか謙遜じゃなく、本当の事。
「鴉姫(カラスひめ)様の事は、私は良く理解出来ないから、どうでもい〜や。」
鴉姫っていうのは真鵺のファンがそう名付けたニックネームだ。
真鵺が有名になったキッカケは新宿のファッションビルに掲げられたアパレルの大きな看板。
