赤いリボンのラッピングをしてもらって花屋を出ると、夕刻に近づいてきた空はもう薄暗くなり始めていた。
「でもさ、ホント良かったじゃん。あの娘もソロ仕事貰えてさ。…これでウチらが解散してもね、ひとまず無職にはならない。」
「えっ?」
不意打ちの様に、胡兎の口からまさかの“解散”のワードが出て、私はギョッとする。
「あのねぇ…胡兎。せっかく雫をお祝いしようって時にどうしてそんな縁起でもない言葉が出てくるのかなあ!?」
「…ごめん。けど私達このままずっと世間から知られてヒットする曲も無いまま、何年先までグループでやっていくのかな?…ってさ、やっぱ思うわけじゃん。」
胡兎の言葉は確かに核心を突いている。
私だってその現実は理解しているつもり。
