ただ、甘えっ子の姿を見せるのは、私と真鵺に対してのみだけど…。
歌唱力を認められてのグループ加入だったにも関わらず、キャラ的な意味で濃いファンの人達から支持を得ている。
「あ〜そうですか。それは私が悪うございました。」
胡兎は寧音をマトモに相手にはせず、別の洋食メニューのプレートに箸を移動させる。
「はい!」
胡兎から取り上げた春巻を、寧音は私の取り皿に盛った。
「ありがとう。」
お礼を言うと、寧音は屈託ない笑顔を私に見せる。
どうにかしてメンバー全員に、その笑顔を向けてくれるようなって欲しいと、私は切に願うのだった。
アイドルグループがメディアで見せる仲の良さなんて、実際は大したことはない場合がほとんどで、それは私達も例に漏れず。
というか、ハッキリ言ってどちらかと言うと私達は……。
