そんな中、その和やかな空気にヒビが入る言動が…。
「ちょっと!その春巻は朱理のでしょッ?なんでアンタが二つ目いってんの!?」
テーブルの上にあった六角形の中華プレートの上に、一つだけ残っていた春巻を箸で取ろうとした胡兎から素早くそれを奪うべく、声の主の箸が瞬速でパスカットに出た。
「ん?いいよ別に。私なら構わないから。」
「ダメッ。良くないッ!」
宥(なだ)めようとした私に即答したのは、
────“嘉陽 寧音(かよう ねね)”。
サイドテールの黒髪に淡い紫のポイントカラーを入れたヘアスタイルでチャコールグレーに近い色の黒目をしているメンバー。
メンバーの中では一番小柄で年齢も他のメンバーより二つ年下の十八歳。
性格は本当に気が強い反面、甘えっ子の一面もある。
