「大丈夫です。行って下さい。」
私の返事に運転手さんは前を向き直し、直後にバタン!とドアが閉まった。
12月の寒空の下、私を乗せたタクシーは悲願の自宅への帰還の為、東京の街へ走り出す。
私は疲れのあまり、座席のシートに深くもたれかかった。
先程届いたメッセージは、七年来の親友である女優の響香からのものだった。
“なんと!来年ね、私と麗斗君が朱理の番組にドラマの番宣の為に、出演が決まったの。朱理の司会アシスタントも生で見たいし、なによりテレビでは記念すべき初共演だね!”
その内容は私にとっても確かに心躍るものではあったけれど、今の疲労度は何か考えを頭の中でまとめて返信する余力さえ残ってはいなかった。
ごめん響香。後で返信するから。
心の中で謝って、私は今度はポケットではなく、自分のバッグにスマホを仕舞った。
